会見するマクラーレン氏=ロンドン
ロシアの組織ぐるみのドーピング問題で、世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームは9日、2011年から15年にかけて夏季競技、冬季競技、パラリンピック競技の1千選手以上がドーピングの陽性の結果を隠すシステムに関わっていたと発表した。自国開催の14年ソチ冬季五輪では、金メダル4個を含め、メダルを獲得したロシア選手12人から採取した尿の容器を開けた際にできる傷が残っており、検体のすり替えなどがされていたと見られるという。
ドーピングの深い闇
調査責任者のリチャード・マクラーレン氏(大学教授)が最終報告をまとめ、9日にロンドンで記者会見を開き、明らかにした。ソチ五輪だけでなく、12年ロンドン五輪では、78選手がドーピングを隠す「リスト」に載り、そのうち15選手がメダルを獲得した。すでに10選手はメダルを剝奪(はくだつ)されているという。ソチ・パラリンピックでは金メダリスト6選手、13年の陸上世界選手権モスクワ大会でも4選手の尿がすり替えられていたとみられる。
7月の1回目の報告では口頭による証言が中心だったが、今回の調査では残されている検体や容器も調べた。その結果、尿を入れた容器を開けた時にできる傷が残されていたり、人間の体から出てくる量としては考えられない量の塩分が検出されたり、女性選手の検体から男性選手のDNAが検出されたりしたことがわかった。調査チームは、こうした結果は容器を開けて尿をすり替えなければあり得ないとした。ソチ五輪で使われた容器を開ける技術などは引き継がれ、五輪後もモスクワの検査機関で使われていたという。
マクラーレン氏は、最終報告書…