パオロ・ジェンティローニ外相
イタリアのマッタレッラ大統領は11日午後、与党・民主党のジェンティローニ外相(62)と大統領府で会談し、次期首相に指名、組閣を要請した。野党は解散総選挙を求めていたが、経済問題など内外の課題が山積する中、政策の継続性と内閣の安定性を重視した模様だ。
ジェンティローニ氏は会談後、「できる限り早期の組閣に努める。現政権の枠組みのもとで動くことになる」と語った。民主党と新中道右派などとのこれまでの連立の枠組みは維持され、上下両院で信任を得られる見通しだ。15日にはブリュッセルで欧州連合(EU)首脳会議が開かれるため、大統領はそれに間に合うよう数日中の政権発足を求めている。
憲法改正の国民投票での敗北を受けて辞任したレンツィ首相は9日、首相府でジェンティローニ氏と会談していた。ジェンティローニ氏は民主党内でもレンツィ氏に近く、2014年10月に外相に任命された。組閣に成功すれば、議会の任期満了を迎える18年までに行われる総選挙まで首相を務める。来年5月下旬には南部シチリア島タオルミナで主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開催される予定で、トランプ次期米大統領や仏新大統領が初参加する。ただ、「五つ星運動」など野党は、直ちに総選挙を行うよう求めており、来年前半にも解散総選挙に進む可能性も取りざたされている。(ローマ=山尾有紀恵)