公的年金の支給額を賃金に合わせて下げる新ルールを盛り込んだ年金制度改革法案は、13日の参院厚生労働委員会で採決され、可決する。民進党などは法案に反対しているが、与野党は午後の委員会で採決することで合意。与党は14日の参院本会議で可決、成立させる方針だ。
13日午前の質疑には、安倍晋三首相も出席した。民進党の川合孝典氏は物価も賃金もともに下がった場合の年金水準の試算を要求。厚労省が発表している試算は物価も賃金も上がり続ける前提で、塩崎恭久厚労相は「一時的にマイナスになる場合も含めて、専門家に相談しながら示したい」と答弁。公表時期は明言しなかったが、新たな試算を出す考えを示した。
野党側は物価や賃金が上がり続ける経済見通しは現実的ではないとして、衆院での審議段階から新たな試算の公表を求め、政府側は拒み続けていた。
新ルールでは、現役世代の平均賃金が下がれば、物価が上がっても賃金の下げ幅に連動して年金も減らす。物価も賃金も下がれば、下落幅が大きい方に合わせて下げる。支給額が上がる場合も、増加幅を毎年1%程度ずつ目減りさせる「マクロ経済スライド」を強化する。(井上充昌)