虐待や親の病気などを理由に親元で暮らせない子どもが暮らす児童養護施設の対象年齢が来年度から引き上がる。現在は原則18歳までだが、自立が難しい場合は22歳になる年度末まで可能にする。18歳で施設を出ると、貧困に陥るケースもあるためだ。厚生労働省が来年度予算案で対応する。継続的に悩みを相談できる仕組みも設ける。
特集「子どもと貧困」
現行制度では児童福祉法に基づき、児童養護施設や里親家庭で暮らせるのは原則18歳まで。5月の法改正で、施設出身者らが原則20歳まで入れる自立援助ホームを就学中に限り22歳になる年度末まで延ばした。
今回は法改正をせず、運用によって事実上、対象年齢を上げることにする。進学や就職ができなかった子どもや、就職しても自立が難しい子どもが対象。22歳になる年度末まで児童養護施設や里親家庭、自立援助ホームなどで暮らせるように、厚労省が受け入れに必要な運営費を補助する。
子どもの自立支援策もさらに拡充。施設を出た子どもにも必要に応じて相談員が訪ね、生活や仕事の悩みに対応する。児童相談所のある自治体には「支援コーディネーター」を配置できるようにし、子ども本人や施設職員らと面談しながら支援計画をつくる。その後も自立が難しい場合は、自治体による生活困窮者自立支援などにつなげ、継続的に支援を受けられるようにする。
厚労省が昨年9月に設置した有識者委員会では「一定の年齢に達したことで支援が打ち切られる制度はおかしい」との指摘が相次いでいた。(伊藤舞虹)