安倍晋三首相が今月下旬に訪問する米ハワイ・真珠湾を、1951年9月に当時の吉田茂首相が訪れていたことが、米海軍の公文書などからわかった。米軍幹部を表敬するため、真珠湾にある米太平洋艦隊司令部を訪ねていた。この幹部の回顧録には、その様子が詳しく記されている。
ワシントンの米海軍歴史センターで朝日新聞が入手したラドフォード米太平洋艦隊司令長官(当時)の日報によると、ラドフォード氏が51年9月12日午前10時45分~同11時、吉田氏の表敬訪問を受けたとの記録があった。吉田氏はサンフランシスコ講和条約締結のための米本土訪問の帰途、ハワイに立ち寄った。
1980年に出版されたラドフォード氏の回顧録によると、司令部の建物前からは真珠湾が見下ろせ、その司令部1階にあるオフィスで吉田氏と会ったという記述があり、ラドフォード氏の飼い犬を吉田氏が抱き上げたエピソードなどが紹介されている。
安倍首相は今月5日、真珠湾訪問を発表。朝日新聞を含む複数メディアが「現職首相として初」と報じた。その後、吉田氏が真珠湾を訪れていたとの指摘もあり、朝日新聞は当時の資料などを調べた。
吉田氏の真珠湾訪問について、外務省は「51年に吉田首相がホノルルを訪問している」とする一方、「真珠湾での公式行事については確認されていない」と説明している。また、同省は吉田氏がホノルル市内の国立太平洋記念墓地で戦没者を慰霊していることも確認している。
安倍首相は26日にハワイを訪問し、同墓地で献花するほか、27日に真珠湾のアリゾナ記念館を訪れる方向で調整している。