ロシアのプーチン大統領との会談を終え、記者の質問に答える安倍晋三首相=15日午後9時24分、山口県長門市、代表撮影
ロシアのプーチン大統領が15日来日し、安倍晋三首相と山口県長門市で会談した。両首脳は、北方領土問題を含む平和条約締結や北方領土での「共同経済活動」について意見を交わした。首相は同日夜、「特別な制度のもとでの共同経済活動などについて、率直かつ突っ込んだ議論を行うことができた」と記者団に語った。
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プーチン氏の大統領としての訪日は2005年以来。両首脳の会談は、今年4回目で通算16回目。プーチン氏は15日夕、予定より約2時間40分遅れて山口宇部空港(山口県宇部市)に到着。会談は温泉旅館「大谷山荘」で、午後6時過ぎから約3時間、夕食を囲んでさらに約2時間行った。
会談ではまず少人数会合を開催。安倍首相は冒頭、「訪日を私の故郷でお迎えできて本当にうれしい」と歓迎。プーチン氏は「本日と明日行われる会談は、ロ日関係の前進に大きく貢献すると期待している」と応じた。日本側は岸田文雄外相や世耕弘成ロシア経済分野協力相ら、ロシア側はラブロフ外相やシュワロフ第1副首相らが同席した。
領土問題は、その後約1時間半行われた通訳のみを同席させた会談で議論した。首相は記者団に、北方四島の元島民の故郷への自由訪問について協議したと説明。日本側が領土問題を進めるテコとして位置づける共同経済活動については、議題に上ったことを明らかにしたが、具体的な内容には言及しなかった。
一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は記者団に、北方領土の主権問題は協議されなかったと明らかにした。ウシャコフ大統領補佐官は、両首脳が共同経済活動について詳細な検討を行うよう専門家に指示することで合意したと説明。両首脳が16日に東京で再び行う首脳会談にあわせて共同文書を発表するとも言及。漁業、医療、環境など具体的な分野が盛り込まれるとの見通しを示し、活動はロシアの法律に基づいて行われると主張した。
一方、日本外務省幹部は北方領土でのロシアの主権は認められないとする日本政府の従来の立場に変わりはないと説明。活動は帰属問題に抵触しない仕組みにする必要があるとした。
また、ラブロフ氏は記者団に、プーチン氏が日ロの外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の再開を提案し、首相は前向きな姿勢を示したと説明した。2プラス2は13年に開催後、中断している。
首脳会談では、シリア情勢やウ…