神戸市長田区で2014年に小学1年の女児(当時6)が殺害された事件で、殺人やわいせつ誘拐などの罪に問われた無職君野康弘被告(50)=同区=の控訴審第1回公判が16日、大阪高裁(樋口裕晃裁判長)であった。一審の死刑判決を不服として控訴した弁護側は、死刑の回避を求めた。
神戸小1女児殺害事件、被告に死刑判決 神戸地裁
君野被告は14年9月、女児に「絵のモデルになってほしい」と声をかけて自宅に誘い入れ、ひもで首を絞め、包丁で首を刺して殺害。遺体を傷つけて複数のごみ袋に入れ、近くの雑木林に遺棄したとして起訴された。
一審・神戸地裁の裁判員裁判の判決は、動機が極めて身勝手とし、殺害方法の残虐性も重くみて「被害者が1人でも死刑が十分許容される」とした。
控訴審で弁護側は、わいせつ目的の誘拐ではないと反論。計画性がない点も考慮すれば過去の裁判から「真に死刑がやむを得ないとはいえない」と主張した。さらに死刑制度の違憲性にも触れ、「国家が生命を奪うことは絶対に許されず、基本的人権の尊重を保障した憲法に反する」とも訴えた。
この日の公判で、弁護側は君野被告に発達障害があった可能性があるとして臨床心理士による情状面の鑑定を要請したが、大阪高裁は不要と却下した。被告人質問で君野被告は「未来のある幼い子どもの人生を奪ってしまい、申し訳ない」と述べた。
一方、遺族は「娘が亡くなってから2年以上が経っても、悲しみが癒えることはありません。控訴に憤りを覚えています。被告人が何を語るのかをしっかりと聞いて、娘に報告したいと思います」とのコメントを発表した。