会談で笑顔を見せるロシアのプーチン大統領(左)と安倍晋三首相=15日午後6時12分、山口県長門市の大谷山荘、飯塚晋一撮影
ロシアのプーチン大統領は15日午後6時過ぎ、当初予定より2時間40分遅れて会談場所である山口県長門市内の温泉旅館に到着。その3分後、安倍首相との首脳会談が慌ただしく始まった。
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冒頭、首相は「首脳会談の疲れが温泉につかることで、完全にとれることをお約束いたします」と歓迎。プーチン氏が「温泉も楽しみにしている。でも、疲れすぎない方がいいですね」と応じると、双方の同席者から笑いが起きた。
ロシアのペスコフ大統領報道官はロシア・メディアに対して「遅刻」の理由を取り上げ、「シリア問題を含むプーチン大統領の日程によるものだ。この遅れは首脳会談にはまったく影響を与えない。開始が遅れただけで、予定通りの日程が行われる」と強調した。
両首脳と通訳だけの約1時間半の会談後、午後9時半から当初予定より約2時間遅れでワーキングディナーが行われた。日本政府は15人、ロシア政府は12人が参加し、山口県産のフグやイカ、和牛などを食べながら午後11時半まで続いた。プーチン氏は山口県産の日本酒を飲みながら、「日本酒はおいしい」などと語ったという。
双方の出席者はネクタイを外し、和やかな雰囲気で進んだという。この席で首相はプーチン氏に、津波被害で沈んだロシア軍艦に代わる新造船をモチーフにした幅約6メートルの絵巻の複製画を贈呈。プーチン氏からは、1870年製のロシアの伝統的な湯沸かし器「サモワール」と、モスクワ市内の雪の中を馬車が走る様子が描かれた油絵が贈られた。(小野甲太郎)