東京電力は24日、福島第一原発事故で被害を受けた農林業者に対し、来年からの3年分の賠償金をまとめて追加で支払う方針を示し、地元と合意した。今回の合意で、本格再開の見通しがない水産業を除き、経済的な被害に対する賠償方式はほぼ決着する。
福島県が同日、福島市で開いた原子力損害対策協議会でまとまった。合意内容によると、避難指示や出荷制限で農林業が再開できない人たちには一律で、事故前の年間利益の3年分を払う。3年後以降は個別の被害に応じて賠償し、仕事を再開していない場合、賠償は原則として打ち切る。また、避難指示区域外の農家らの風評被害に対しては、値下がり分を来年から1年間補塡(ほてん)する。協議会には経済産業省や復興庁などが同席し、福島県産の農作物や食品に対する風評被害対策を政府として強化する方針を示した。
東電によると、農林業や商工業など経済活動に対し支払った賠償は、11月末までに2兆円超。今回の合意で生じる追加分は、政府が新たに試算して拡大した賠償総額7・9兆円に織り込まれている。
東電は9月、農林業者に対し2年分の追加案を提示したが、地元の猛反発に遭い、譲歩した。(永野真奈)