白馬に乗ったシンタクラースの周囲を、おつきの黒いピートが歩く=オランダ西部ライデン、吉田美智子撮影
オランダのサンタクロースには、「ズワルト(黒い)ピート」と呼ばれるお供がいる。顔を黒く塗り、赤い唇、もじゃもじゃ頭のいでたちだ。このお供が今、国を二分する議論となっている。「人種差別を助長する」と非難する反対派に対し、支持派は「伝統を壊すな」と擁護する。
11月、オランダ西部ライデン中心街。この国で「シンタクラース」と呼ばれるサンタクロースの一行がやってくると、親子連れが歓声をあげた。先導役のピートの多くは顔を黒く塗った白人たち。通りの脇で反対派グループが「黒いピートは人種差別」と記した看板を掲げた。
反対派グループに加わる南米スリナム系の移民2世エルビンさん(39)は「小さいころ、学校のクリスマス前のイベントで、『お前は顔を塗らなくていいな』とからかわれた。ピートは黒人の特徴をからかった差別だ」と憤る。一方、介護福祉士アネケさん(37)は「子どものお祭りを邪魔するのはひどい。ピートは煙突を通ったから、すすで顔が黒いのよ」と話した。
オランダでは、シンタクラース…