韓国教育省は27日、来年3月の新学期から導入予定だった中学と高校の「国定歴史教科書」について、2017年度は希望校のみで使い、18年度以降は国定教科書と既存の検定教科書の選択制にすると発表した。教育現場では国定教科書不採用の動きが圧倒的で、朴槿恵(パククネ)大統領が主導した国定教科書は事実上頓挫する見通しになった。
韓国、国定歴史教科書の見本公開 大統領肝いりに反発も
朴政権は、既存の教科書が朝鮮戦争などを巡る記述で北朝鮮の主張に配慮していると主張。朴氏の父、故朴正熙(パクチョンヒ)大統領が推進した経済政策が成し遂げた「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる高度成長に誤った批判があるともしていた。
教育省は11月28日に国定教科書の見本を公開。李俊植(イジュンソク)教育相が「生徒が特定のイデオロギーに偏らず、バランスの取れた歴史観と正しい国家観を持てるようにした」と語っていた。
しかし、韓国ギャラップが1日に発表した世論調査によれば、国定教科書が「適切ではない」と答えた人が71%に上り、「適切」とした11%を大きく上回った。全国市道教育監協議会も繰り返し、国定教科書の導入廃止を求めていた。(ソウル=牧野愛博)