3日、国連本部に初登庁し、職員を前に演説するアントニオ・グテーレス新事務総長=米ニューヨーク、金成隆一撮影
1日に国連の第9代事務総長に就任したアントニオ・グテーレス氏が3日、ニューヨークの国連本部に初登庁し、職員を前に「多国間主義の価値」を訴えた。米国のトランプ次期大統領らから国連批判が相次ぐ中、世界各地の紛争や気候変動などへの対応で手腕を試される。
グテーレス氏は人口増加や気候変動など「問題が地球規模になっている時に国家単位では解決できない」と指摘。「今こそ多国間主義の価値を主張する時で、国連が要だ」と述べた。新体制への期待の高まりを意識してか「私が奇跡を起こせるわけではない」とも述べ、職員や加盟国との協調を求めた。
国連安保理が昨年末にイスラエルの入植活動を批判し即時停止を求める決議を採択したことなどを受け、国連の最大の出資国である米国では国連批判が渦巻く。トランプ氏は「集まって話して楽しむだけのクラブだ」と国連を形容し、2008年大統領選の元副大統領候補ペイリン氏からは脱退を求める声まで出た。グテーレス氏はこうした批判の中で難しいかじとりを迫られる。
グテーレス氏は紛争予防の失敗が国連の「最も深刻な欠点」との認識を持っており、シリアや南スーダン、イエメンなどの争いで調停者として関係国の橋渡し役になる意欲を示している。(ニューヨーク=金成隆一)