英国の対欧州連合(EU)外交を担うアイバン・ロジャース駐EU大使が辞任したと、英政府の広報担当者が3日発表した。英BBCは同日、スタッフに宛てたロジャース氏のメッセージを入手。EU離脱を決めた英国は3月末までにEU側に離脱通知を行う予定だが、ロジャース氏は「離脱手続きが終わるまで同じトップが残り、交渉するのがベストなのは明らかだ」と辞任の理由を記した。
ロジャース氏はキャメロン政権下の2013年11月に大使に就任。任期は今年10月末までだったが、辞任時期を早めたと説明している。EU離脱方針をめぐり、ロジャース氏とメイ首相のスタッフとの意見が食い違い、関係がよくなかったとの見方もある。
ロジャース氏はEU側と離脱交渉を始めるにあたり、各国の情報収集などに当たっていた。昨年12月には英BBCが、ロジャース氏が英政府に対し、EU離脱に伴う貿易交渉の妥結には10年かかる可能性があると報告したと報じていた。(ロンドン=寺西和男)