ナゴヤダルマガエル(愛知県提供)
水路に落ちたカエルが田んぼに戻れるようにしようと、愛知県農業総合試験場が「脱出ネット」を張る実験をしている。救いたいのは、壁をよじ登るのが苦手な絶滅危惧種。試験場は、環境保全とともにカエルのすむ田で取れた「環境にやさしいコメ」として県産米のブランド化にもつながると期待する。
特に重視しているのはナゴヤダルマガエルだ。環境省のレッドリストで「絶滅危惧種」とされ、県内でも都市周辺の水田の減少とともに数を減らしたことから、県は2009年度のレッドデータブックから絶滅危惧種として掲載した。カエルは小さな虫を食べる一方、鳥や蛇のエサにもなる。試験場はカエルを「食物連鎖の要」と位置づけ、中でもナゴヤダルマガエルを「水田の生物多様性の指標」とみている。
ただ、ナゴヤダルマガエルは足が短い上に吸盤がなく、壁をよじ登る力が弱い。田んぼから水路に落ちて川に流されると、死ぬ可能性が高いという。
そこで試験場が考えたのが、ホームセンターで購入できるポリエチレン製のネットを水路の壁面に張る脱出装置だ。大きさは水路の形状によるが、標準的なものは幅約1・5メートル、高さ約80センチ。材料費は1カ所5千円程度で、1時間以内で取り付けられる。15年秋から16年夏にかけて同県安城、豊田両市の計10カ所に設置した。安城市で脱出装置をつけた榎前(えのきまえ)環境保全会の加藤辰雄代表は「カエルは水路の壁沿いで流されていくことが多い。ネットにひっかかってから登っていく姿を見かける」と語る。
現地で具体的な効果を調べるの…