海上に突き出すような形から名付けられたとされる「ソビエト」。磯釣りのスポットとしても有名で、釣り人が寒グレを狙う=すさみ町見老津沖
和歌山県すさみ町に「ソビエト」という地名があるという。ソビエトといえば、1991年に崩壊してロシアなどになった「ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)」で知られる言葉だ。
ロシア大使館(東京)に尋ねた。報道担当書記は「そんな地名があるとは知らなかった。なぜでしょう?」と首をかしげる。
まずは現地へ。先月のある朝、車を走らせ町へと向かった。役場で聞くと、ソビエトは沖合約1キロのところにある島のことらしい。ただ、大きな島の裏手にあり、海岸からは見えないという。町で渡船業を営む谷口清さん(61)に連れて行ってもらうことにした。
谷口さんによると、島は磯釣りで有名だが、地形的に波が荒く、時に釣り客が波にさらわれるなど危険な場所としても知られている。だが、この日は「数カ月に一度あるかないかの凪(なぎ)」。「ソビエトに上陸できるかも」と期待して船に乗ること10分。
着いた! 見た目は島というより「岩」。広さ5メートル×10メートル、高さ5メートルほど。磯釣りの先客が3人いたため残念ながら、上陸はかなわなかった。すると、谷口さんが腕で山を作って合図をした。「ほれ、先がとがって立っているやろ。『そびえとる』から『ソビエト』や」。何だって!