トランプ米次期大統領が隣国メキシコに批判を浴びせている問題で、同国のビデガライ外相は9日、「尊厳と知性によって、対話と交渉への扉を開き続ける」と述べ、協調を模索する姿勢を示した。
自国の外交官らを前にした演説で語った。地元メディアなどによると、ビデガライ氏は今後の対応について、「メキシコはどうするのか、と多くの人から聞かれる。衝突に備えた戦略を練るべきだとの声や、恥ずべき従順を予想する声もある」と語った。その上で「メキシコは、そのどちらの間違った扉も選ばない」と語った。
トランプ氏はメキシコからの不法移民を「強姦(ごうかん)犯」などと決めつけ、国境に壁を建設すると主張。米企業のメキシコへの工場移転を批判し、大手フォード・モーターや空調大手キヤリアが工場建設計画の撤回に追い込まれた。北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しも掲げており、メキシコ経済に深刻な影響を及ぼすとみられている。
ビデガライ氏は財務相だった昨年8月、トランプ氏とペニャニエト大統領の会談設定を主導したが、世論の反発を招き、責任を取って辞任した。ただトランプ氏とのパイプが期待され、4日に外相に起用された。(サンティアゴ=田村剛)