羽生善治三冠と広瀬章人八段の対局を多くのファンが見守った=15日、熊本市総合体育館
第10回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)の本戦が15日、熊本市中央区の市総合体育館で指され、広瀬章人八段(29)が4強入りを決めた。昨年の熊本地震の「復興祈念対局」の2日目で、約450人が訪れた。公開対局に3連覇中の羽生善治三冠(46)が登場し、多くのファンが取り囲むように観戦した。
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午前の1回戦の対戦カードは、羽生三冠―広瀬八段戦と深浦康市九段(44)―屋敷伸之九段(44)戦。全員が名人への挑戦権を争う「A級順位戦」に所属する一流棋士で、広瀬八段と深浦九段が勝った。2回戦で両者が当たり、互いに玉将を固めあう「相穴熊」の戦いを広瀬八段が制した。14日に勝ち抜いた八代弥(わたる)五段(22)と準決勝を戦う。
朝日杯は通常、東京と大阪で対局が組まれ、熊本では初開催。大盤解説会では、豊川孝弘七段(49)がダジャレを織り交ぜた軽妙な解説で場を盛り上げた。14、15日の2日間で計6局が公開された。
中でも羽生三冠―広瀬八段戦は大勢のファンが見守った。熊本市南区の会社員、岩本光央さん(28)は「初めて生で見た将棋対局が一流の棋士同士による公開対局だったので、最高な気分でした。羽生さんが終盤に次の手を考えている際、顔や耳が真っ赤になり、最後の最後まで『何かいい手はないか』と戦う姿勢に感動しました。熊本は復興のさなかですが、最後まで諦めない姿に勇気をもらえた」と語った。
残る4強の2人は20日と30日に東京での対局で決まる。準決勝、決勝は2月11日に東京都千代田区の有楽町朝日ホールで公開で行われる。賞金は1千万円。(村瀬信也、安斎耕一)