JR蕨(わらび)駅(埼玉県蕨市)で14日、目の不自由な男性(63)がホームから転落し、列車にはねられ死亡した事故で、駅員が改札を通る男性に気づいたものの、声かけなどをしていなかったことがわかった。JR東日本は社員向けのマニュアルを改訂し、サポートの徹底に取り組む構えだ。
線路に転落、列車が…盲導犬連れた男性死亡 埼玉・蕨駅
視覚障害者事故、対策強化の矢先に 埼玉で線路に転落死
現在の同社のマニュアルは、困っている視覚障害者には声をかけ、手助けは必要ないと言われても気をつけて見守るよう定めている。だが今回、駅員は改札を通る男性に気づいたが、いつも利用している人で、付き添いを求められたこともなかったため、声をかけなかったという。
同社は「社員への指導が行き届いていなかった面もある」と認識。マニュアルを改め、困っているように見えない視覚障害者についても、見守りなどを強化するよう社員教育を徹底することにした。
また蕨駅については、2020年度末までとしていたホームドアの設置を前倒しする検討に着手。新たに警備員2人を配置し、巡回も開始した。
事故は14日午前7時10分ごろに発生。埼玉県川口市のマッサージ師の男性がホームを盲導犬といっしょに歩いていて線路に転落、京浜東北線の普通列車にはねられ、亡くなった。
国土交通省は昨年末、駅の安全対策をまとめ、ホームドアがない駅で駅員が視覚障害者を見かけたら、構内を誘導してサポートするよう鉄道会社に要請したばかりだった。蕨駅の事故を受け、駅員による声かけの徹底を改めて鉄道各社に文書で求める方針だ。(石山英明、伊藤嘉孝)