金の投資契約と偽り、高齢者らから現金をだまし取ったとして、兵庫県警は19日、大阪市中央区の貴金属販売会社「エコライフプロモーション」(事実上閉鎖)の社長平田秀明容疑者(47)=大阪府=と、前社長石綿正孝容疑者(53)=東京都=ら男6人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
県警は押収した資料などから、同社が2011年7月以降、西日本を中心に約260人から6億円余りを集めていたとみている。
捜査関係者によると、平田容疑者らは12~13年、金地金(延べ棒)を分割前払いで購入する契約を結べば、利益を得られるなどと偽り、兵庫県内などの高齢者ら3人から、頭金や購入手数料などの名目で計約700万円をだまし取った疑いが持たれている。
法人登記簿によると、エコライフプロモーションは10年4月に設立され、資本金600万円。県警は昨年2月、大阪・ミナミのオフィスビルに入る同社など数カ所を家宅捜索した。
■投資トラブルの相談相次ぐ
捜査関係者によると、エコライフプロモーションの販売員は主に高齢者の自宅を訪れ、「金の相場は今が底」「相場が上昇すれば、途中解約しても、支払時より多い返金が受けられる」などと繰り返し誘っていたという。
契約後、金価格が上がると「買い足せば、もっと利益が出る」と追加購入を勧誘。一方、価格が下がると「これ以上の損失を減らすため、売却した方がよい」と解約を促し、相手に損失を認めさせていたという。
国民生活センターによると、金の高い信頼性を悪用したとみられる投資トラブルの相談が全国で相次ぐ。「解約を申し出たら、多額の手数料を求められた」などの被害相談は、2013年度に最多の190件に達した。今年度も50件(今月17日時点)の相談が寄せられているという。
兵庫県警は昨年7月にも、金地金契約をめぐって現金をだまし取ったとして、大阪市中央区内にあった別の貴金属販売会社「ジェーシーアイ」の社長を詐欺容疑で逮捕した。社長は同罪で起訴され、公判中。エコライフプロモーションの平田容疑者とこの社長は、大阪市内にあった投資会社の元同僚。ジェ社の捜査を進める中でエコ社が浮上したという。