原宿署を出る佃弘巳容疑者(中央)=2018年6月18日午前9時17分、東京都渋谷区、諫山卓弥撮影
静岡県伊東市の土地取引を巡る贈収賄事件で、前市長の佃弘巳容疑者(71)=収賄容疑で逮捕=が、現金約1千万円を2回に分けて手渡しで受け取っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁などは、現金授受の記録が残らないようにするためだったとみている。同庁などは18日、佃前市長らを送検し、捜査員約30人で伊東市役所に家宅捜索に入った。
収賄容疑の前伊東市長、土地取引「自らやりとり」供述
逮捕の前伊東市長、土地購入を自ら提案 元市幹部明かす
捜査2課によると、佃前市長は現職だった2015年8~9月、同市の土木建築会社「東和開発」が所有していた「伊東マンダリン岡本ホテル」(廃業)の跡地約4千平方メートルを市に購入させるなどの便宜を図った見返りに、同社役員の森圭司郎容疑者(47)=贈賄容疑で逮捕=から、仲介役の稲葉寛容疑者(50)=収賄幇助(ほうじょ)容疑で逮捕=を通じ、現金約1千万円を受け取った疑いがある。
捜査関係者によると、森容疑者からの約1千万円は、稲葉容疑者が8月と9月、市内で500万円ずつ佃前市長に現金で手渡していた。佃前市長は警視庁の逮捕前の調べに金を受け取ったことは認めたうえで、「貸した金を返してもらっただけだ」などと賄賂性を否定。一方、稲葉容疑者は貸し借りを否定する趣旨の話をしていた。
ホテル跡地は14年10月、東和開発が競売で約4800万円で取得。その後、同社は建物を解体して更地にし、市に15年7月、約2億500万円で売却した。佃前市長が東和開発との価格交渉を自ら行っていた。