「牝猫たち」
日活ロマンポルノリブートの第3弾、白石和彌監督・脚本の「牝猫たち」の公開が始まっている。東京・新宿の武蔵野館では14日の初日、朝一番の上映から満席のスタート。オランダ・ロッテルダム国際映画祭に正式招待作として出品されることが決まった。「凶悪」などで現代日本の断面を切り取る白石監督に、今回の狙いなどを聞いた。
東京・池袋のデリヘルでたくましく働く3人の女性の物語。ネットカフェで暮らす雅子(井端珠里)の常連客は引きこもりの若者。シングルマザー結依(真上さつき)はお笑い芸人にのめり込む。主婦でもある里枝(美知枝)は妻と死別した老人を相手にしている。
白石監督は1974年生まれ。日活がロマンポルノを公開していた時代は知らない。「僕はアダルトビデオ(AV)を先に見ていた世代。かつてのロマンポルノはエロの最先端を目指していたと思う。でも僕はそこにポルノの要素よりロマンの方を見ました。そして時代の空気が映っていた。ネットに過激な映像が普通に流通する今、エロを追求する意味はもうない。ただ時代の空気を描くことが出来るのではと思いました」
と言いつつも色っぽいシーンはあくまで色っぽい。
「これは僕の趣味でしょうが、女性が脱がされるのではなく、自ら脱いでいくのを見るのが好きなんです。それをエロいとみるかエロくないとみるかは人それぞれでしょうけど(笑)」
エロいかどうかは別にして、女性たちが能動的に行動していることの象徴にはなっている。彼女たちはあくまでも強くてたくましいのだ。「男性が女性を虐待する映画もあったが、基本的にロマンポルノは今も昔も女性の強さを描いてきたと思っています。女性の方が生命力があってほしい。僕はそう願っています」
当時のロマンポルノはフィルム撮影だったが、今はデジタルに変わっている。「フィルムは高価なので、カメラを回す前に役者やスタッフの動きをきちんと段取りして撮影していたのでしょう。デジタルの良さはいくらでもカメラを回せる点にあります。今回の映画は作り込んだ物語でなく、ドキュメンタリータッチなので、デジタルの特性を生かして自然に撮れたのではないでしょうか」
田中登監督のロマンポルノの名…