書籍をデリバリー配達員に渡す上海市福州路の新華書店の店員(撮影・丁汀)。
中国では最近、食事時間帯だけでなく、他の時間帯にも忙しそうに街中を走り回っているデリバリー配達員の姿を目にするようになっている。人民日報海外版が報じた。
「ミネラルウォーターを買ってきてほしい」、「食材を買ってきてほしい」、「薬を買って届けてほしい」など、デリバリープラットホームの「餓了麽(Eleme)」や「美団」は、多種多様なニーズに応えてくれるようになってきている。
デリバリーアプリが「万能アプリ」に
現在、デリバリープラットホームの「おつかい」機能を使えば、どんな商品でも家まで届けてもらえると言っても過言ではない。
上海で働いている付さん(男性)は、「ある時、彼女と一緒に北京オリンピック森林公園にピクニックに行った時、突然の大雨に見舞われた。傘を持っていなかったため、二人ともずぶ濡れになってしまった。その時、試してみようという気持ちで、『餓了麽』の『おつかい』機能を使ってみた。すると、配達員がサンダル2足と、カッパ2つを買って、公園内まで届けてくれたので、困った状況から脱することができた。その時、僕たちは公園内の片隅にいて、園外を走る大通りからまさに壁一つの距離だった。配達員は僕たちのいる場所を正確に探し出し、壁越しに買ってきたものを渡してくれた」と振り返る。
デリバリープラットホームの配送員をして5年になるという丁さんは、「お客さんに頼まれた食材やタバコを買ったことがあるほか、ごみ捨ての手伝いをしたり、花を届けたりしたこともある。定番である料理の配達のほか、『おつかい』機能の配達依頼も少しずつ増えている。僕は主に料理の配達をしているが、配達依頼が多いのは正午と夜だけ。そのため、食事時間帯でない時は、通り道である場合は、『おつかい』の配達依頼も取るようにしている」と話す。60過ぎの丁さんは、夏になると日焼けして真っ黒になるまで働いており、「取る配達依頼が多いほど、給料も多くなる。一番多い日で約60件配達する。ここ2年は『おつかい』の配達依頼もどんどん増えており、薬や食材、日用品などを買ってくるよう頼まれる」と語る。
デリバリー配達員の新業務開拓の背後にはどんな要素?
「餓了麽」は最近、アプリのバージョンアップを実施し、飲食デリバリープラットホームから、「インスタントニーズ」のライフサービスプラットフォームへと舵を切った。デリバリーサービスを中心とした小売業への変革だ。
「餓了麽」のニューバージョンのアプリは、飲食デリバリーから、同じ都市を範囲にして、生活の全方面にサービスを提供するほか、ユーザーの必要に応じた「おススメ」も行うといった、「身の回りニーズ」を立ち上げ、グレードアップしている。「餓了麽」の関係責任者は、「消費者は、お腹がすいた時だけでなく、生活のいろんなシーンで、『餓了麽』が必要になる。当社は、企業全体の戦略が変わったとは考えておらず、『身の回りニーズ』でも、『ニューサービス』でも、『ユーザー目線のサービス』を基本コンセプトにして、サービス業のデジタル化グレードアップを推進していく」と説明する。