トランプ次期米大統領=ロイター
「異端児」ドナルド・トランプ氏がいよいよ第45代米大統領に就任します。今後、政権が直面しそうな課題をまとめました。
特集:ドナルド・トランプ米次期大統領
■日米首脳会談
〈2017年1月下旬?〉安倍晋三首相が訪米し、就任したばかりのトランプ大統領と首脳会談を行う見通し。安倍首相は、トランプ氏が大統領選に勝利した昨年11月、世界の首脳に先駆けて、ニューヨークのトランプ・タワーで会談し、日米関係や世界情勢に関する意見交換をするとともに、早期に首脳会談を行うことを約束した。首相は会談で、日米同盟の重要性をトランプ氏に理解してもらい、その深化を図りたい考えがあるとみられる。
■上下両院合同会議での施政方針演説
〈2017年2月ごろ〉トランプ大統領が今後1年間の施政方針を示す演説を議会で行う。経済など内政や外交全般の考え方が示される。大統領が年初に行う演説は「一般教書演説」と呼ばれる。ただ、就任したばかりの大統領は、「連邦の現状」について把握し、議会に報告するという憲法上の一般教書の定義にそぐわないため、一般教書演説とは呼ばず、「議会に対する演説」としている。
■就任から100日
〈2017年4月〉トランプ大統領は大統領選中、「100日行動計画」を掲げた。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱表明や犯罪歴のある不法移民の強制送還、オバマ氏による大統領令の撤廃、中国を「為替操作国」に指定するなどといった内容だ。こうした政策がどこまで実現されるのかが注目される。
■G7首脳会議
〈2017年5月〉主要7カ国(G7)首脳会議が、イタリア・シチリア島の景勝地タオルミナで開かれる。トランプ大統領が初めてG7に出席する見通し。昨年5月の伊勢志摩サミットでは、世界経済を支える金融や財政政策、構造改革の重要性をうたう首脳宣言を採択した。
■G20首脳会議
〈2017年7月〉主要20カ国・地域(G20)首脳会議が7月、ドイツ・ハンブルクで開かれる。昨年9月に中国・杭州で開かれた前回の首脳宣言では、グローバル化や自由貿易への反発が強まっていたことから、英国の欧州連合(EU)離脱問題などを念頭に、「あらゆる形態の保護主義に反対」する姿勢を再確認していた。
■国連総会
〈2017年9月〉トランプ大統領の本拠地ニューヨークの本部で開かれる国連総会。トランプ氏は、国連安全保障理事会が昨年、イスラエルの入植活動の即時停止を求める決議案を採択したことを念頭に、自身のツイッターで国連について「集まって話して、楽しむだけのクラブだ」と批判した。親イスラエルの姿勢を見せるトランプ氏は、米国は決議案に拒否権を行使すべきだと主張していた。
■COP23
〈2017年11月〉国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)がドイツのボンで開かれる。トランプ大統領は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する意向を示している。昨年11月にモロッコで開かれたCOP22では、トランプ氏に協定から離脱させないよう、協定の枠組みを維持することを確認。2018年までに協定に実効性を持たせる詳細ルールを決めることで合意した。
■中国共産党大会
〈2017年秋〉中国共産党は5年ごとに党大会を開き、大規模な人事が行われる。前回2012年の党大会では、胡錦濤前総書記が退任し、習近平氏が総書記に選出された。トランプ大統領は、中国と台湾がともに「一つの中国」に属するという中国側の原則について「すべてが交渉対象となる」と語る。為替や貿易で中国の譲歩がなければ、見直す可能性を示唆するなど、対中強硬的な姿勢を崩していない。
■米中間選挙
〈2018年11月〉上院議員の3分の1、下院議員全員が改選となる。昨年の大統領選と同時に行われた上下両院選では、共和党がともに過半数を得た。トランプ政権の1期目の折り返し時期に当たり、トランプ氏への中間評価が下る。過去、多くの中間選挙で大統領の与党が議席を減らす傾向がある。
■米大統領選
〈2020年11月〉トランプ大統領が4年間の政権運営を経て、「米国を再び偉大にする」という公約が果たされたのかどうか、再選に向けて有権者の評価が下される。(奈良部健)