沖縄県の安慶田(あげだ)光男副知事が、県の教員採用試験で不正な口利きをしたと沖縄タイムスが報じ、翁長雄志(おながたけし)知事は20日の定例記者会見で「そういった事実はないと聞いている」と述べた。現時点では問題視しない考えを示した。
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沖縄タイムスは、2015年に行われた教員採用試験で、安慶田氏が県教委関係者に複数の受験者の受験番号などを示して合格させるよう依頼したが、県教委側は拒否した、と18日に報じた。安慶田氏は朝日新聞の取材に「全く記憶にない。あり得ない」と全面的に否定している。
翁長知事は会見で、疑惑を否定した上で、「県民に心配をかけさせたのは残念。綱紀粛正も含め、特別職のあり方もこれから議論していきたい」と語った。会見に同席した平敷昭人(へしきしょうじん)県教育長は、当時の教育長ら県教委幹部計5人に聞き取り調査をし、全員から「働きかけの事実はない」との返事があったと説明。現在の試験制度では、特定の人物を不正に合格させることはできないとの考えを示した。
安慶田氏は那覇市議時代から市長だった翁長氏を支え、翁長氏が知事に就任した14年12月、副知事に起用された。基地問題などを担当し、県と政府が対立する米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画などで安倍政権側との交渉役を務めている。