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農家は安堵、同性愛者ら批判 トランプ氏就任、日本では

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2017-1-21 14:44:00  点击:  切换到繁體中文

 

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2015年6月、米ニューヨークの「プライド行進」を見学した中村吉基さん=本人提供


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「米国第一」、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱――。トランプ大統領が就任早々に打ち出した方針に、日本でも様々な受け止めが広がった。同性愛者ら少数派の人たちは「独善的だ」と批判し、農家には不安と安堵(あんど)の声が入り交じった。


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「これまで交渉の結果に振り回されてきた。一安心だ」。トランプ氏のTPP離脱表明に、約40ヘクタールの畑で小麦やジャガイモ、ビートなどを生産している北海道帯広市の森浩昭さん(56)は胸をなで下ろす。


TPP発効で輸入関税が下がれば、安い外国産小麦がさらにシェアを高め、小麦農家の経営支援にあてられてきた国の補助が減ることが避けられないと心配していたからだ。


幕別(まくべつ)町の酪農家の田口広之さん(57)は、雄は肉用になる乳用牛のホルスタインを700頭育てる。肉質や価格帯から、米国産牛肉との競争にさらされてきた。「まずは農家や酪農家にはプラスになるのではないか」


だが、トランプ氏は米国の国益を押しつけるような強気の振る舞いが目立つ。「時間が経つにつれ自国が損をしないように手を打つだろう。先が見通せない」と不安げだ。


豊頃(とよころ)町でホルスタイン750頭を飼う酪農家の井下英透さん(58)も「TPPがなくなっても、日米二国間の貿易交渉が進むかもしれず、さらに圧力が強くなるのでは」と、ビジネス界出身のトランプ氏の交渉の「剛腕」ぶりが通商政策にどう及ぶか気が気でない。


米国経済が不安定になれば、多くを輸入に頼るえさの値段に影響し、損失がでる。「当選後から、円相場の値動きが激しくなっている。極端にならないでほしい」(池田敏行、上地兼太郎)


■不寛容「氾濫しそう」


東京都三鷹市の英語教師アレックス・メンデスさん(27)は「国境を守ろう」と強調するトランプ氏の言葉にがっかりした。「メキシコ人のお陰で豊かさを享受しながら、今さら何を言っているんだ。国境にはすでに、大きな大きな『壁』があるじゃないか」


11歳のとき、メキシコから米国に移住し、現在は両国の国籍を持つ。アリゾナ州南部、メキシコとの国境沿いの町で育った。


両親は元々、この町に広がるレモン畑で働く不法労働者だった。農場に白人は1人もおらず、スペイン語が飛び交った。米国でありながら、レストランのメニューも学校の授業もスペイン語。米国は「人種のるつぼ」と呼ばれるが、実感したことは一度もなかった。


住む街から道を1本隔てて北側には裕福な黒人や中国人の住宅街が広がり、さらに1本北側には白人の住宅街があった。「今まで地中に隠れていた人種の分断が、トランプ氏が当選して表に出ただけ」と感じる。


メンデスさんは家族の中で、初めての大卒だ。英語が話せず小学校しか出ていない両親は、米国で職を得るのが難しく、トランプ氏が言う「移民が白人の仕事を奪った」との指摘は当たらないと感じる。


3年前に来日し、部屋探しの際に「外国人お断り」とする物件が多く驚いたが、「人種差別がないと装う米国よりあからさまですがすがしさすら感じた」。


トランプ氏の就任で社会が大きく変わるとは思わない。ただ、「大統領が公然と人種差別に『お墨付き』を与えてしまった。言葉や様々な暴力が氾濫(はんらん)しそうで」。数年後に帰国予定だが、怖さを感じる。


東京都新宿区の教会で牧師を務める中村吉基さん(48)は、同性パートナーと共に自宅テレビで就任演説を見た。「美辞麗句が続いたが、心がときめくような言葉はなかった。独善的で、他者を思いやる視点が欠けているように感じた」


2004年、牧師として同区内に教会を設立。男性同性愛者(ゲイ)であることを公表し、4年後には長年のパートナーと結婚式も挙げた。


15年6月、LGBTやその支持者らのパレード「プライド行進」を見るため米ニューヨークへ。現地の空港のテレビで、同性婚を全米で容認する連邦最高裁の判決が出たと知り、「何てうれしい歓迎のプレゼントだろう」と心が震えた。


日本でもLGBTがメディアに好意的に取り上げられる機会が増えたと感じる。一方、トランプ氏は選挙期間中、「違憲だ」として同性婚容認判決に反対を表明していた。就任演説ではLGBTという言葉は出てこなかった。「成果が後退することなく、一人ひとりが尊重される国であることを願ってやみません」


60歳代の日本人イスラム教徒の著述業男性は、「演説は選挙期間中と同様に米国の大衆層を強く意識した内容で、世界に自らの理想を示すものではなかったのが残念」と話す。


トランプ氏は大統領選で、「イスラム教徒の米国入国禁止」を打ち出して物議を醸した。男性の気がかりは、トランプ氏自身より、こうした発言をする人物を支持する層が米国だけでなく、日本も含めた世界に広がることだ。


トランプ氏を支持する中心は低所得の白人層といわれる。「虐げられていると感じる国民が、理性で感情をコントロールできずに、自分とは違う信条の人を否定したがる。格差が広がる日本もひとごとではない」


演説では、難民支援への言及はなかった。オバマ前政権は2017年に最大11万人の難民を「第三国定住」で受け入れる方針を表明している。難民支援協会の石川えり代表理事(40)は「新政権が難民支援にどう関与していくのか注視したい。世界の難民支援をリードしてきた米国の動向には、難民一人一人の命がかかっている。きちんと約束を果たしてほしい」と話す。(牛尾梓、杉山麻里子、其山史晃)




 

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