現職の事務所では「現」を強調していた=唐津市二タ子1丁目
22日告示、29日投開票の佐賀県唐津市議選(定数30)に、同姓同名の男性2人が立候補を予定している。56歳の現職と43歳の新顔で、いずれも名前は「青木茂」。地盤とする地区や経歴も似ているため、2人は有権者に現新の別や年齢を投票用紙に記してもらうよう選挙戦で訴えることを申し合わせた。
現職は4選をめざす元建設会社員。新顔は建設会社長。ともに無所属で地盤の地区も重なる。双方の事務所に相手の支援者が誤って激励に来ることもあるという。
市選管は当初、投票所の記載台に貼る名簿に「同姓同名の候補者に投票する場合は(現・新などの)付記を記して下さい」と注意書きをすることを検討したが、三十数人と見込まれる候補者のうち2人だけ特別扱いすることになると判断してやめた。ただし、2人に限っては名簿に年齢と現新の別を記すことにした。
開票の際には現・新の別など客観的に区別できる記載がない場合、まず疑問票に回す。このうち「天才青木茂」や「太った方の青木茂」といった客観性を欠く票を無効票とし、有効票はそれぞれの得票割合に応じて案分し振り分ける。
新顔陣営は「青木茂と言うと『聞いたことがある』と反応があるのは現職のおかげ。他の新顔より覚えてもらいやすい」としつつ、「案分は(実績のない)うちに不利だろう」。一方、現職陣営は「まず青木茂が2人いることを浸透させないと、氏名だけの記載では全て案分」と警戒。氏名を連呼する旧来の手法ではなく、「『現職の青木茂』『青木茂 現』といったふうに視覚的に示せるLINE(ライン)などでの発信の必要性を痛感している」と話す。
市選管の石崎新一委員長は「(開票をめぐって)万が一訴えられても、訴訟に耐えられる正確な作業を」と訓示している。
過去には、1997年9月の神奈川県真鶴町議選や2003年7月の千葉県成東町議選などに同姓同名の候補が出た例がある。(原口晋也)