東京都内であった「アメリカ留学EXPO」で、米国の大学の担当者に話を聞く留学希望者ら=2015年9月
移民や外国人に厳しい発言を繰り返してきたドナルド・トランプ氏が米大統領に就任した。「自由で寛容」な米国のイメージが揺らぎ、留学先としての人気にも影を落とし始めている。
特集:ドナルド・トランプ米大統領
就任式ドキュメント
「最初は(米西海岸の)ロサンゼルスに留学したかったけど……。カナダに行くことにした」と、大阪府の大学4年、松沢明彦さん(23)は話す。
2014年夏、米南部ニューオーリンズに約1カ月滞在した。外国人の自分に気さくに話しかけてくる人々のおおらかさに「いい国だなあ」と思った。卒業後、ハリウッドで英語や映画を学び、現地で映画関係の仕事に就く夢を抱いた。
昨年11月末、留学エージェントに相談。でも、トランプ氏の「暴言」が心に引っかかった。イスラム教徒の一時入国禁止、不法移民の強制送還――。「人種差別が深刻になるかも」。外国人の友人はみんなトランプ氏を嫌い、両親も治安の悪化を案じた。
将来への不安もあった。米国には学生ビザを持つ人が専攻分野に関連した職種で最長1年間働ける制度があるが、新政権下でも存続するのか。約1カ月考えた末、米国より長く働ける制度があり、有名な映画学校もあるカナダ・バンクーバーへの留学を決めた。
東京都の大学生、山田吉成さん(23)は英国か米国への語学留学を検討中だ。英国は欧州連合(EU)離脱に揺れるが、米国も「大統領選で国内が分断され、いろんな階層が対立している印象がある」。今は英国に傾いている。
一方、率直な物言いのトランプ氏に好感を持つ学生もいる。千葉県出身で北京の大学3年、高峰誠さん(21)はトランプ氏当選で米国への興味が増した。夏から約2カ月の留学を計画中だ。「自国第一の考えは当然。うそをつく政治家よりは、すべてをさらけ出すトランプ氏の方がいい」
米国は日本人に最も人気の留学…