障害のある人がスポーツに親しむ環境は整っているのか――。朝日新聞が全国の障害者スポーツ協会にアンケートしたところ、7割以上が「整っていない」と回答した。一方、2020年東京パラリンピックが障害者スポーツに「いい影響を及ぼしている」と答えた協会は8割を超えた。パラリンピック開催をきっかけにした環境向上への期待が高まっている。
「障害者スポーツを文化にするには」 都内でシンポ
障害者スポーツの振興を目的に都道府県や一部の政令指定都市に設立された協会や協議会、計57団体にアンケートを実施し、すべてから回答があった。
スポーツに親しむ環境については、43団体が「整っていない」。選択肢から複数回答可で理由を選んでもらったところ、「施設数が少ない」が38団体で最も多く、「スタッフが少ない」▽「交通が不便」▽「施設の設備が不十分」と続いた。
岩手県の協会の担当者は「地域の施設を障害の有無にかかわらず利用できる環境整備が重要」と指摘。「施設までの移動手段の問題が大きい」(滋賀県)、「一般施設は障害者利用の入る余地がないほど混み合っている」(北九州市)、「日常的な運動まで支援できる態勢は整っていない」(岐阜県)との声もあった。一方、名古屋や大阪、神戸など政令指定市の半数は「整っている」と答えた。
東京パラリンピックには、48団体が「いい影響」を感じていた。障害者向けスポーツ教室の参加者が増え、「選手として活動したい」との問い合わせもあるという。島根県の担当者は「注目が高まり、障害そのものへの理解も進むきっかけになっている」と答えた。(山本亮介、斉藤寛子)