自国第一の政策を打ち出す米国のトランプ新政権について、欧州連合(EU)首脳会議のトゥスク常任議長(大統領に相当)は31日、「憂慮すべき決定によって、我々の将来を極めて不確実にしている」と批判した。2月3日に予定されているEUの非公式首脳会合を前に、英国を除く27加盟国の首脳にあてた書簡に記した。
トランプ氏はEU離脱を決めた英国を称賛。「他にも離脱する国が出てくる」などと欧州の統合に冷ややかな姿勢を採ってきた。
トゥスク氏は、EUが直面する脅威として、中国の強引な海洋進出や、ウクライナ危機をめぐるロシアの侵略的な政策、イスラム過激派などによるテロと並んで、トランプ新政権による政策変更を明示。「過去70年の米国の外交政策に疑問を投げかけ、EUを困難な状況にしている」と懸念を示した。その上で「米国の友人に、我々の信条を思い出させなければならない。団結してこそ我々は立て、分裂すれば倒れる」と呼びかけた。
また欧州に反EUや国粋主義、排外主義が広がっていると警告。「EUの崩壊は加盟各国の主権回復にはつながらず、米国やロシア、中国といった超大国への依存をもたらすのは明白だ」と結束を呼びかけた。(ブリュッセル=吉田美智子)