米新聞大手のニューヨーク・タイムズ(NYT)は2日の決算発表で、米大統領選報道をきっかけに有料読者が大きく増えていると明らかにした。2016年10~12月期の3カ月間でのデジタル版有料読者数は、同年の9月末時点と比べて約27万6千人増え、11年に同社がデジタル版の契約をスタートして以降で最大の伸びを記録したという。
この結果、昨年末時点のデジタル版有料読者の数はおよそ160万人に達し、1年前と比べると47%増加した。トランプ氏への批判的な報道が支持を集めているとみられる。
トランプ氏はNYTについて、1月のツイッターで「偽ニュースで経営不振」「誰か適性と確信を持つ人が買収し、正しく経営するか、尊厳をもって、たたませる(廃刊させる)べきだ」と批判した。NYTは同氏が大統領令で7カ国の国民が米国に入ることを禁止したことを「臆病で危険」と社説で指摘するなど政権に批判的な報道姿勢を貫いている。今年1月には大型投資をして、新政権を取材する態勢を強化すると表明した。
一方、2日発表した2016年10~12月期決算は、純利益が前年同期に比べて28%減の3714万ドル(約42億円)で、売上高は同1%減の4億3965万ドル。紙面向けの広告収入が約2割減ったことが響いた。(ニューヨーク=畑中徹)