右から中村勘九郎さん、勘太郎さん、長三郎さん、七之助さん=松竹提供
東京・歌舞伎座の「猿若祭(さるわかさい)二月大歌舞伎」が2日に開幕した。歌舞伎俳優の中村勘九郎さん(35)の長男の波野七緒八(なおや)さん(5)が三代目中村勘太郎を、次男の波野哲之(のりゆき)さん(3)が二代目中村長三郎をそれぞれ名乗り、「門出(かどんで)二人桃太郎」(夜の部)で初舞台を踏んだ。約2千人の観客が詰めかけた。
川から流れてきた大きな桃から、勘太郎さん、長三郎さんが演じる2人の桃太郎が登場すると、客席から拍手が起きた。芝居半ばで出演者が居並び、口上を述べた。勘九郎さんは「兄弟仲良く切磋琢磨(せっさたくま)して努力精進を重ね、この場に一番いたかったであろう、父(中村)勘三郎のように皆から愛される立派な役者になりますようご指導ご鞭撻(べんたつ)のほどひとえにお願い申し上げます」。勘太郎さんと長三郎さんも「どうぞよろしくお願いいたします」と元気いっぱいあいさつした。
2人は市川染五郎さんの犬彦、尾上松緑さんの猿彦、尾上菊之助さんの雉(きじ)彦を従えて鬼ケ島へ向かい、鬼たちと闘った。最後は父の勘九郎さん演じる鬼の総大将相手に、刀を持って立ち回り。総大将を降参させた。兄弟の見えも立派に決まり、「中村屋!」「かわいい」などの声が客席からあがった。
「門出~」は、30年前の1987年、勘九郎さんと弟の七之助さん(33)が5歳と3歳で初舞台を踏んだ時の演目でもある。26日まで。(山根由起子)