日本銀行は8日、1月30~31日の金融政策決定会合で政策委員から出た「主な意見」を公表した。海外経済の好転を見込みながらも、米トランプ政権の政策が不透明なことに警戒感を示す意見が相次いでいた。
ある委員は「海外経済は緩やかな回復に転じている」としつつ、トランプ政権の政策運営や欧州各国の国政選挙について「不確実性は根強い」と述べた。別の委員も「米国経済の不透明感はきわめて高い状況が続く」と指摘。海外経済の不確実性を理由に「早急な政策変更には慎重であるべきだ」と主張する委員もいた。
一部の委員は、米国の長期金利が急上昇したことを踏まえて「(日銀の)金利操作は一層、困難度合いが高まる」と懸念を示した。また、「ささいなことで(日銀の金利操作に対する)市場の疑念が高まりかねない」との声もあった。
この会合で、日銀は長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する金融政策を据え置いた。ある委員は「日銀が(『ゼロ%程度』の操作目標を)引き上げるのではないかとの臆測も聞かれる」とし、2%の物価目標と現状の隔たりが大きいため、「現在の方針を堅持することが重要」とした。経済情勢が改善しても物価上昇率が伸び悩むことに「期待外れ」との声も上がった。(藤田知也)