2016年12月期決算を発表する電通の山本敏博社長(左)=14日午後、東京都内
電通は14日、新入社員の過労自殺事件を受けた働き方改革で、社外の専門家らで構成する「独立監督委員会」を今月下旬に設置すると発表した。改革の進み具合や具体的な成果を継続してチェックする。委員会は、弁護士や厚生労働省元局長ら3人で構成。毎月会議を開くほか、定期的に取締役会にも出席し、改革の進め方や成果について評価や助言をする。
同日の2016年12月期の決算会見で山本敏博社長が発表した。山本社長は「外部の専門的な視点から、改革の妥当性と進捗(しんちょく)状況を監督してもらう」と述べた。
同時に示した役員人事では、事件当時から労務担当の副社長を務める中本祥一氏が代表取締役を3月の株主総会以降も続投する。山本社長は「目の前の問題を解決するため、取締役会で議論を重ねた最良のガバナンス体制だ」と述べた。社外取締役には元労働事務次官の松原亘子氏が新たに就く。
16年12月期決算(国際会計基準)の売上高は、前年比2・4%増の8383億円、純利益は同0・5%増の835億円。今後、事件の要因ともなった人手不足を解消するため、200人規模で人員を増やすほか、他のシステム投資の費用増もかさむが、17年12月期は増収増益の見通しという。(和気真也)