今季、富山大の人気が急上昇した。一般入試(前期・後期日程)の志願者数の確定値をみると、前期の志願者は初めて4千人を超え過去最多に。北陸新幹線の開業を機に、首都圏から受験生を集めようと設置しているさいたま市の入試会場(工学部のみ)での受験希望者も、前年の2・6倍の138人に急増した。選抜方法のある「工夫」が人気につながったようだ。
富山大によると、一般入試の前期の志願者数(全学部計)は4412人(定員1080人)で前年の3631人から22%増。4千人を超えたのは2005年の大学統合以来初めて。後期は3783人(同352人)。前・後期計の8195人も過去最多となった。
前期の約800人に上る志願者増は、工学部が牽引(けんいん)している。前期の志願者は前年の768人から今季は1636人に倍増した。
工学部は前期では富山市の五福キャンパスに加えてさいたま市、名古屋市に入試会場を設けているが、さいたま会場の受験希望者は、一昨年の45人、昨年の53人から今年は2・6倍の138人に。名古屋会場も昨年の290人から2・7倍の785人に増えた。
富山大入試課によると、工学部は今季の前期入試で、センター試験重視の配点と、2次試験重視の配点の2区分を設けた。後者は、学科によっては配点がセンター200点、2次1千点と、センターの失敗を2次で十分挽回(ばんかい)できる形になっているのが特長だ。
2次重視区分は前期志願者の4分の3にあたる約1200人を集め、志願倍率が15~16倍にのぼる学科も目立つ。さいたま、名古屋両会場の希望者は多くがこの区分の志願者で、遠方の受験生を集めた。一方、センター重視区分の志願倍率は、各学科とも2~3倍程度だった。
受験生に魅力的な配点区分と、遠方居住者に便利な学外入試会場の存在が志願者増をもたらしたようだ。
各地で富山大のPRを重ねてきた船橋伸一教授(入試担当)は「本来は学力があるにもかかわらず、たまたま運悪くセンター試験で失敗する受験生は多いはず。2次重視の区分を設けたのは、そうした受験生を取り込むため。志願者増は狙い通りの結果」と話す。