(撮影・黄孝邦。写真提供は新華社)
人気のインスタント食品が次々入れ替わる中、かつて一世を風靡したインスタントラーメンの「干脆麺」や「来一桶」は今ではすっかり姿を見かけなくなった。今年の新型コロナウイルスの流行中には、マスクや消毒液と一緒にECプラットフォームの人気検索ランキング上位に上がったのは、新たな人気商品のタニシ麺だった。「第一財経」が伝えた。
タニシ麺の評価は2つに分かれる。好きな人は何日か食べないといても立ってもいられなくなり、嫌いな人はにおいをかいだだけでその場から逃げたくなってしまう。タニシ麺のすごいところは、これほど好き嫌いが分かれる食品でありながら、2014年に一式入った個包装タイプがECで販売されるようになると、生産地の広西チワン族自治区柳州市を飛び出して、中国全土さらには世界の人気者になったことだ。
タニシ麺の前にも、中国の地方の食品が地元から外へと広がるケースは少なくなかった。沙県(福建省)の軽食、桂林のビーフン、重慶の小麺、四川の担々麺……こうした軽食は1980年に誕生したタニシ麺より長い歴史があるが、タニシ麺ほどの人気や話題性はなく、感染症流行中のネットでは個包装のタニシ麺の品切れ状態が続いていた。
タニシ麺は本当においしいのか。どうしてこれほど人気があり、人気が続いているのか。
2012年のドキュメンタリー作品「舌で味わう中国」で紹介されたことが高い宣伝効果を上げ、タニシ麺のファンが増えたことは確かだ。しかしさらに重要なことは、タニシ麺それ自体にネットの人気者になる属性が備わっていたことだ。
タニシ麺が好きでネットで繰り返し購入する消費者のほとんどが若者だ。多様化、個性的、新鮮さや特別感、話題性を追求するのが若者世代の特徴で、タニシ麺の特徴がこの世代のニーズのど真ん中を射抜いた。またこれから開発される巨大な「一人ご飯」市場に対し、タニシ麺はその風味が一人で味わうのにぴったりということから、多くの独身者に歓迎されている。ネットの人気者がライブ配信でタニシ麺を食べて注目を集めたことを考えると、社交的な属性も持ち合わせたタニシ麺に人気が出たのももっともだと言える。