二塁のレギュラー獲得を目指すDeNAの田中浩
「2番セカンド 田中浩康」
沖縄・浦添市民球場にアナウンスが響いた。17日、ヤクルトのキャンプ地で行われたヤクルト―DeNAの練習試合。打順も守備位置も名前も2月の浦添でよく耳にするフレーズだ。だが、一つだけ違うことがある。打席に向かう34歳は、DeNAの淡いブルーのユニホームを着ていた。
昨オフ、田中は12年間所属したヤクルトを戦力外になった。ベストナインを2度獲得した二塁のポジションを山田哲人に奪われ、一塁や外野に挑戦したが結果がでなかった。コーチとしてチームに残る誘いを断り、DeNAへ移籍。「まだまだやれる。二塁手として、もう一花咲かせたい」との思いからだった。
でも、ヤクルトへの感謝の気持ちは忘れていない。オフには1人で香港を訪れ、現地で働くヤクルトの社員らにあいさつ。ヤクルトファンという作家の村上春樹さんにも感謝の思いをしたためた手紙を送った。
プロ12年間で積み上げた犠打数は現役トップの293。新天地ではキャンプ序盤からアピールを続け、バント成功率の向上を今季のテーマに掲げるラミレス監督は「十分戦力になる」と高評価だ。チームに溶け込もうと、練習後は筒香嘉智やロペスらを積極的にご飯に誘っている。
ここまで対外試合の3試合はすべて2番二塁で先発出場。17日は一回に内野安打も放った。「DeNAに拾ってもらった。とにかく結果を残さないと。野球人生のすべてをかけて、やる」。3月31日の開幕戦の相手はヤクルト。早大時代から慣れ親しんだ神宮球場に、あのアナウンスは響くだろうか。(山口裕起)