戦況を見つめるドイツのレーウ監督=長島一浩撮影
(17日、ドイツ0―1メキシコ サッカー・ワールドカップ)
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なぜうまくいかないんだ。試合の中、ドイツMFクロースが顔をしかめて首を振った。
前半35分に先取点を許して以降、ドイツは一方的に攻め続けた。シュートの本数は25本。うち枠内に9本が飛んでいるにもかかわらず、1点が遠い。前半39分、クロースのFKは相手GKオチョアの好セーブに阻まれた。レーウ監督は後半に攻撃の選手を次々と投入するが、布陣を柔軟に変えて対応するメキシコ守備陣を最後まで崩すことができなかった。
ドイツがワールドカップ(W杯)の初戦に敗れるのは、1982年スペイン大会以来だ。「(直前の親善試合の)サウジアラビア戦が警鐘となっていた。守備でDFがボアテングと自分だけになってしまう場面が多い。それを改善できなかった」とDFフンメルスは振り返る。いくら能力の高いDFと言っても複数人で繰り出すメキシコの速攻を防ぐのは容易でなかった。
前回覇者のサッカーは世界でお手本とされ、徹底的に研究される。ましてや今は映像の普及とデータ解析が進み、丸裸にされている。ただでさえ、代表チームは練習期間が短い。06年優勝のイタリア、10年を制したスペインはいずれも次の大会は1次リーグで敗退した。特に前回のスペインは初戦オランダ戦の大敗を引きずり、2連敗で第3戦を待たずに敗退が決まった。
「当然プレッシャーがかかる。2連勝するしかない」とクロースは言う。連勝して決勝トーナメントに行っても初戦でブラジルと対戦する可能性もある。「これまで大きな大会の初戦はずっと勝ってきたのでこの状況に慣れていない」とのレーウ監督の言葉も気がかりだ。次戦のスウェーデン戦。いきなりの正念場だ。(河野正樹)