黄檗(おうばく)宗「安城寺」(松山市)の施設建て替え計画に伴う融資を焦げ付かせ、債権者に損害を与えたとして、背任罪などに問われた住職の片井徳久被告(56)と、自称檀家(だんか)総代で会社役員の宇都宮貞史(さだし)被告(41)の初公判が28日、大阪地裁(芦高源〈あしたかみなもと〉裁判官)であった。認否について、片井被告は留保し、宇都宮被告は「すべて住職の指示で行った。共謀ではない」と述べた。
起訴状によると、2人は共謀し、2012年1月~14年9月、寺の施設建設計画に伴う融資1億5千万円を焦げ付かせ、債権者の不動産会社(大阪市)が寺などの土地・建物の所有権を移転登記するのを妨害。不動産を別の寺に寄付し、同社に損害を与えたとされる。
冒頭陳述で、検察側は融資について「宇都宮被告の会社の借入金返済と、片井被告が自由に使える金を得ようとした」と指摘。2人は融資金の一部を同社を仲介した業者にも分けたと主張した。
2人は13年4月ごろ、黄檗宗関連施設の架空の建て替え計画を石川県内の建築会社社長に持ちかけ、3億円を詐取した罪でも起訴されており、今後の公判で審理される。