朝日新聞社は、記事取り消しなど2014年の一連の問題を受けて「信頼回復と再生のための行動計画(再生計画)」を15年1月に公表し、それに沿った取り組みを続けています。計画作りにかかわった社外有識者の皆さんに向けて13日、3度目となる報告会を開催しました。
報告会では、社会の課題を掘り下げて読者とともに解決策を考える企画記事「子どもと貧困」「小さないのち」などを紹介し、朝日新聞社の目指すべき方向について意見を伺いました。
日産自動車副会長の志賀俊之さんは「フェイク(偽)ニュースとかオルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)が言われ、何が正しいのか分からない時代だ。丁寧に取材して、読者が判断できる材料を提供する新聞の役割が高まっている」と指摘しました。ジャーナリストの江川紹子さんは「『こうあってほしい』という願望が優先し、事実が置き去りにされる傾向が世の中で強まっている。今こそ、事実と解説と、それに対する反応を切り分けて伝えることが大事」と話しました。
弁護士の国広正さんは「『再生』とは生まれ変わることであり、元の状態に『回復』することではない。新聞社の使命は価値ある情報を多くの人に届けること。スピード感をもってデジタル展開を進めるべきだ」と提案しました。社会学者の古市憲寿さんは「デジタルサービスは若者向けと高齢者向けの2プランが必要。デジタルを活用したいと思っている高齢者は多い。新聞はその手助けができるはず」と述べました。
社長の渡辺雅隆は「お客様や社会と双方向のやりとりをすることで情報やサービスの質を高めていきたい」と話し、「ともに考え、ともにつくる」という企業理念に沿って努力を続ける考えを伝えました。