国連安全保障理事会は2月28日、シリア・アサド政権の化学兵器使用に対する制裁決議案の採決を行い、同政権を支えるロシアが中国とともに拒否権を行使した。英仏と決議を推進した米国のヘイリー国連大使は否決後、「ロ中が言語道断で弁解の余地のない選択を行った」と強く批判した。
シリアでの化学兵器使用をめぐっては、国連が化学兵器禁止機関(OPCW)とともに設けた調査機関が昨年8月、アサド政権が2014年と15年に化学兵器を使ったとの報告書をまとめた。決議案はこの報告に基づいたもので、化学兵器開発に携わるアサド政権高官や軍幹部ら11人と10機関の資産凍結や、化学兵器関連物資の移転禁止などを国連加盟国に求めていた。
だが、シリアは調査報告書は「証拠に欠ける」と主張。ロシアも同調し、決議案への拒否権行使を事前に明言していた。安保理決議案の採択では、ロシアを含めた常任理事国に拒否権があり、一国でも拒否権を使うと成立しない。米英仏側は否決を承知で採決に持ち込んだ形で、対ロ関係修復を掲げたトランプ米政権下でもアサド政権への厳しい姿勢に変化がないことを示す狙いがあった。
ヘイリー氏は安保理で、「ロ中…