政府が待機児童対策の目玉として創設した企業主導型保育所でミスマッチが生じている。昨年4月時点で待機児童が50人以上いた自治体で整備されるのは、企業主導型保育所の定員の4割弱にとどまる。認可保育施設と同様、都市部では用地の確保に難航しているようだ。
企業主導型保育所は企業が主に従業員向けに整備する保育所で、政府が昨年4月に創設。今月16日時点で815施設(定員1万9018人分)の設置が決まり、急速に普及している。
ただ、昨年4月時点の待機児童が50人以上の79市区町村では、定員ベースで39・8%(317施設7569人分)の設置と伸び悩む。一方、待機児童がゼロだった167市区町村に33・5%(289施設6363人分)が新設される。
特に待機児童が8466人と全国の3分の1を占めた東京都内では70施設(同1594人)にとどまる。保育事業者は「都内は物件の賃借料が高い。ランニングコストへの支援が必要だ」と話す。
企業主導型保育所の配置基準は認可保育所より緩く、職員の半数に保育士の資格があればよい。内閣府が2月20日時点で設置の決まった620施設の配置を調べたところ、職員全員が保育士だった施設が55・9%と最多で、4分の3が23・0%、基準ギリギリとなる半数が21・1%だった。従業員でなくても利用できる施設は74・8%あった。(伊藤舞虹)