福岡大大濠―報徳学園 守備を終えた選手たちを笑顔で迎える報徳学園の永田監督(左から2人目)=細川卓撮影
(29日、選抜高校野球 報徳学園8―3福岡大大濠)
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福岡大大濠の先発は予想に反し三浦ではなかった。慌てるような報徳学園ではない。ただ三浦の存在は不気味だ。「もつれた状態で後半に三浦君が出てくる展開は避けたい。どうしても早く点が欲しかった」。永田監督の思いを選手たちはよく分かっている。
一回1死から永山が四球で出た。「行けたら行け」と盗塁のサインが出る。「ゆっくり左足のかかとが上がる。いける」。永山は1球の観察でそう確信し、2球目に二盗を決めた。四球で一、二塁となり、今度は重盗に成功。4番篠原の二塁打で先制した。
「機動力が命。かなり鍛えてきた」と監督。三回は無死一塁で再び永山。初球にバスターエンドランを決めての左前安打で一、三塁とし、そこから篠原の三塁打などで3点を挙げた。五回もスクイズ狙いが結果的に本盗となり、加点した。
勝負手は守りでも決まる。四回、エース西垣の制球が乱れた。九回まででマウンドに伝令を送れるのは3度。そのうち2度をこの回に使い、2死満塁を切り抜けさせた。
永田監督は今大会限りで勇退する。試合後のインタビュー。「選手は監督のために、という気持ちが強いですね」とふられると、「あんまり、そういう話をすると泣いてしまうから」と遮って苦笑した。そこから選手の成長をほめているうちに、目にはみるみる涙がたまった。
「最後なので胴上げしてあげたい」と篠原。昨秋の近畿大会は8強どまり。前評判は決して高くなかった報徳はいま、一丸だ。(竹田竜世)
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○篠原(報) 一回の先制右翼二塁打を含む3長打。「自分は打てる打者じゃないとわきまえて、大振りせずコンパクトに振ることを意識しました」