試合を終え、グラウンドを引き揚げる福岡大大濠の選手たち=阪神甲子園球場、筋野健太撮影
(29日、選抜高校野球 報徳学園8―3福岡大大濠)
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29日の第2試合で報徳学園(兵庫)と対戦した福岡大大濠の先発のマウンドに、エース三浦銀二君(3年)の姿はなかった。
「マウンドは誰にも譲らない」と言い切ってきた大黒柱。昨秋の公式戦13試合をすべて1人で投げ抜き、甲子園でも3試合を完投、計475球を投げた。
この日の朝も「チームを勝たせる投球をしたい」と話していたが、球場入りの後、先発オーダーで八木啓伸監督が告げた投手は徳原世羅君(2年)だった。
三浦君は「チームの方針なので」。八木監督は「優勝するためにどうするのがいいか考えた。うちは三浦しかいないが、ずっと投げさせては優勝できない」。
徳原君にとっては公式戦初の先発がいきなりの大舞台となった。「割り切って甲子園を楽しみたい」と初回のマウンドに向かったが、緊張した表情が解けないまま2四球を与えた後、4番に適時打を放たれた。
直後にマウンドに向かったのは西隼人君(同)。これまで中堅で出場していたが、継投に備えて控えに回っていた。後続を断ったが、三、五回と集中打を浴びた。六回からは捕手の古賀悠斗君(3年)もマウンドに。必死の継投を三浦君はベンチで見守った。
三塁側アルプススタンドには三浦君の母礼子さん(48)と兄潤一郎さん(21)の姿があった。礼子さんは「親としては心配ですが、本人と監督さんに任せています。チームが勝つことを祈っています」。
だが、反撃も及ばず3―8で敗れた。試合後、三浦君は「投げたかった。夏に帰ってきて優勝したい」と話した。(加藤美帆、岩田智博)