林真須美死刑囚=1998年8月20日撮影 和歌山市園部(そのべ)で1998年7月、夏祭りのカレーに猛毒のヒ素が混入され、4人が死亡、63人が中毒になった事件で、和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)は29日、林真須美死刑囚(55)の再審請求を棄却する決定を出した。弁護団が明らかにした。大阪高裁に即時抗告する方針。 和歌山カレー事件の再審請求、判断へ 最大の争点は 再審請求審で弁護団は、X線分析が専門の河合潤(じゅん)・京都大学大学院工学研究科教授の鑑定をもとに、林死刑囚の自宅などから押収されたヒ素と、事件現場のゴミ袋にあった紙コップ内に付着していたヒ素、カレー内のヒ素は「同一のもの」とは言えず、「当時の鑑定には『同一』と見せるための不正があった」などと主張していた。 さらに「林死刑囚が見張り中に、(調理中の)カレー鍋のふたを開ける不審な行動をした」という近くの住民の目撃証言も、次女と見誤った可能性があり、信用できないと訴えていた。 一方、地裁は再審請求審で、弁護団が求めていたヒ素鑑定に関するデータの開示や再鑑定、河合教授の証人尋問などはすべて実施しないとの判断を示していた。 ■事件起きた地区、当時の面影なく 1998年7月に事件が起きた園部地区の夏祭り会場には住宅が建ち、当時の面影はまったくない。 近くにあった林死刑囚の自宅は2000年、放火で全焼した。土地は競売にかけられ、04年に地元自治会が落札。ベンチや花壇を整備するなど公園として整備された。今でも自治会が年2回草むしりをしているが、訪れる人は少ない。 かつて近くの公園で行われていた慰霊祭も、09年が最後となった。事件で急性ヒ素中毒になった男性はこう話す。「当時を知らない新しい住民が増えてきている。被害者が事件を忘れることはないが、できればそっとしておいてほしい」 ◇ 〈和歌山カレー毒物混入事件〉 1998年7月25日、和歌山市園部の民家のガレージで調理されたカレーの鍋に、猛毒のヒ素(亜ヒ酸)が混入された。園部第14自治会の夏祭りに提供され、カレーを食べた自治会長(当時64)、同副会長(同53)の2男性と高校1年の女子生徒(同16)、小学4年の男児(同10)の計4人が死亡。未成年者30人を含む住民ら63人が急性ヒ素中毒になった。 |
林死刑囚の再審請求、地裁が棄却 和歌山カレー事件
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