平行棒の演技をする千葉健太=角野貴之撮影
体操の全日本個人総合選手権は7日、世界選手権(10月、カナダ・モントリオール)の2次選考会を兼ね、東京体育館で開幕。予選があり、男子は千葉健太(順大)が86・050点で首位通過。谷川航(同)が85・850点で2位、リオデジャネイロ五輪団体金メダリストの白井健三(日体大)が85・750点で3位。大学3年生が3位までを占めた。リオデジャネイロ五輪個人総合で2連覇し、今大会で史上初の10連覇がかかる内村航平(リンガーハット)は平行棒でのミスが響き、85・350点で4位タイだった。
女子はリオ五輪代表で、2連覇を目指す村上茉愛(日体大)が56・300点でトップ通過した。
男女とも予選の得点は9日の決勝に持ち越さない。男子は予選の上位36人、女子は上位24人が決勝に進んだ。
■上を追いかけ「ついにここまで来た」
内村が4位だった予選で若い世代が躍進した。
1位の千葉、2位谷川航、4位の萱(かや)和磨は順大で、3位の白井と同じ大学3年。リオ五輪団体で優勝している白井は「強い世代といわれながら、上の世代の背中を追いかけてきた。ついにここまで来た」と同期の台頭を感慨深げに語った。
いずれも大きなミスを抑えた。「順位は驚き。でも、自分の演技をすることに集中した」という言葉もまるで同じだ。千葉は持ち味の体の線の美しさを披露。「重圧も感じない。決勝も大きな失敗はしない」と自信満々だ。
幼い頃から互いに刺激し合ってきた。決勝は、4人が9連覇中の内村に挑む構図になる。「内村さんに勝つというと笑われるかもしれない。でも、今回は本気で勝ちにきた」。萱が真顔で言った。
■内村「試合勘がなさすぎた」
リオ五輪以降、競技会から遠ざかっていた内村は「思ったより試合勘がなさすぎた。試合ってどうやるんだっけ、と」。出だしの平行棒でバーを握り損ねて左脇をぶつけた。「普段は絶対にしない事故に近いミス」。ただ、思ったより得点が出たことで心が折れずに済んだ。「1回やっておけば試合勘は戻ると思う」
■村上、連覇は「意識せず」
女子は村上が連覇に向けて好発進した。リオ五輪で種目別決勝に進出したゆかでミスがなく、のびのびとした演技を披露。唯一の14点台をマークした。疲労を考慮し、例年出場していた春先の競技会を回避。そのため、「試合の雰囲気を忘れていた」と言うが、練習でEスコア(出来栄え)を高める練習を積んできた。「決勝では連覇を意識せず、できる演技に集中したい」と話した。