1986年に日本の歴史教科書に関する藤尾正行文相(当時)の発言をめぐって韓国で反発が高まった際、首相だった中曽根康弘氏がブレーンの瀬島龍三氏に対応に当たらせていたことが明らかになった。韓国外交省が11日に公開した外交文書で判明した。
問題になったのは、憲法改正などを目指す「日本を守る国民会議」編集の高校日本史教科書に関する発言。この教科書をめぐっては「侵略戦争を美化している」などと韓国や中国などから批判が出ていた。こうした中、藤尾氏は86年7月25日、「文句を言っているやつは世界史の中でそういうことをしたことがないのか」などと述べた。
公開された外交文書によると、瀬島氏は藤尾氏の発言から2日たった7月27日、中曽根氏の「特別指示」によって駐日韓国大使を訪ねた。瀬島氏は藤尾氏の発言について「特定の国家を非難する意図は全くなかった」と釈明。「本件で両国関係に不必要な雑音が出るのは望んでいない」との中曽根氏のメッセージを伝えた。
その2日後の7月29日にも瀬島氏は韓国大使を訪問。中曽根氏が藤尾氏の発言による事態について遺憾を表明し、その影響を心配していると説明した。
藤尾氏は86年9月、月刊誌「…