ドンタム村の問題の土地にはベトナム国旗がいくつも掲げられていた=ハノイ、鈴木暁子撮影
ベトナムの首都ハノイ郊外の農村で、地元政府による土地収用の手法に反発した約1万人の村民が警備に当たっていた警官らを15日から監禁し、19日夜時点でも21人が解放されずにいる。村民は「政府と対立するつもりはない」として、土地利用の権利を訴えている。
問題になっているのは、ハノイ市ミードゥック郡ドンタム村の約50ヘクタールの土地。現地報道などによると、郡当局は「軍用地」だと主張し、2015年3月に携帯通信大手・ベトナム軍隊通信グループ(ベトテル)の事業に使うことを決めた。
一方、この土地をトウモロコシ畑として活用してきた住民は「少なくとも1950年代から農業を続けてきた」と反発。15日に土地収用に反対した村民4人が逮捕されたのをきっかけに、村民が警官らを村内の施設に監禁した。警官らは食事や着替えを与えられているという。
村を19日に訪ねると、人の出入りを防ぐように住民の手で土が盛られ、かたわらに「我々は政府に抵抗しているのではありません」と書かれた貼り紙があった。畑にはベトナム国旗がいくつも掲げられていた。朝日新聞の取材に応じた住民は、「我々は農業をする土地を守りたいだけだ」と話した。(ハノイ=鈴木暁子)