マンションを出る渋谷恭正容疑者=14日午前7時57分、千葉県松戸市、川村直子撮影
千葉県我孫子市でベトナム国籍の小学3年レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)=同県松戸市六実(むつみ)5丁目=の遺体が見つかった事件で、県警捜査本部は14日、リンさんの自宅近くに住む40代の渋谷恭正容疑者を死体遺棄容疑で逮捕した。
事件が起きたのは3月24日午前8時ごろ。松戸市立六実第二小学校に行くため家を出たリンさんが行方不明になった。家の防犯カメラには黄色い帽子をかぶり、赤いランドセルを背負って1人で歩く姿が映っていたが、900メートルほど先の通学路に設置された複数の防犯カメラには映っていなかった。学校近くで見守り活動をしていた住民も目撃していなかったという。
リンさんの遺体は2日後の26日午前6時45分ごろ、約12キロ離れた我孫子市北新田(きたしんでん)の橋の下で見つかった。周囲にランドセルや帽子などの所持品はなかった。首を絞められたような痕跡があったことから、県警は殺人・死体遺棄事件と断定。我孫子署に松戸東署との合同捜査本部を設置した。司法解剖で、死因は窒息死の可能性があるとされた。
27日には遺体の遺棄現場から約18キロ離れた茨城県坂東市の利根川河川敷でランドセルが見つかり、リンさんの物と確認された。28日には500メートルほど離れた河川敷で、リンさんの物とみられる衣類や防犯ブザーなども見つかった。
捜査本部はリンさんが家を出た直後に事件に巻き込まれたとみて、それぞれの現場周辺での聞き込み捜査のほか、民家に設置された防犯カメラや近くを走行した車のドライブレコーダーなどの分析を進めてきた。捜査本部はリンさんとみられる女児と成人とみられる人物が一緒に映っているドライブレコーダーの映像を複数回収した。
捜査関係者によると、聞き込みなどから、リンさん宅の近くに住む渋谷容疑者が事件に関与した疑いのあることがわかったという。