第2局を制した佐藤天彦名人=21日午後5時49分、青森県弘前市、堀英治撮影
青森県弘前市の藤田記念庭園で指し継がれていた第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局は21日午後5時25分、後手番の佐藤天彦(あまひこ)名人(29)が挑戦者の稲葉陽(あきら)八段(28)に72手で勝ち、1勝1敗でタイに戻した。攻めをうまくつなげた名人が短手数で押し切った。
持ち時間各9時間のうち、残りは稲葉挑戦者が1時間31分、佐藤名人が1時間10分。第3局は5月1、2日に長崎県西海市で指される。
序盤から前例の少ない力戦になった。封じ手の▲6六銀以降、小競り合いが続いたが、佐藤名人が△5五銀(44手目)と銀交換を迫ったのが機敏だった。
中盤、佐藤名人が本局最長の75分を投じて、△4五桂(50手目)と攻撃を決断。稲葉挑戦者は態勢を立て直す余裕がないまま、投了に追い込まれた。終了図以下、後手には△3八飛成や△2五飛成とする厳しい狙いがあり、先手は攻防共に見込みがない。
解説を務めた副立会人の木村一基八段は「稲葉挑戦者にとっては不本意な展開となり、うまく戦機を捉えた佐藤名人の快勝でした」と話した。(村瀬信也)
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佐藤名人の話 封じ手の局面は、考えているうちに自信がなくなった。攻めがすれすれだったが、何とかつながった。
稲葉挑戦者の話 封じ手のあたりでは、先手番としては面白くない展開だと思っていた。銀を交換されて苦しくなった。
〈2日目の指し手〉先手・稲葉八段 ▲6六銀(封じ手=29手目)△7六歩▲4五歩△5三角▲5八玉△2六歩▲3五歩△同角▲3八金△8六歩▲同歩△8五歩▲7九角△8六歩▲8八歩△5五銀▲6五銀△6四銀▲同銀△同歩▲4七銀△4五桂▲4六銀打△3七歩▲3五銀△3八歩成▲同銀△3六金▲2六銀△3九銀▲1八飛△2七歩▲2五銀△2八歩成▲3六銀△1八と▲1五角△3三歩▲4五銀△2九と▲5六歩△8五飛▲5五歩△2八飛(終了図)まで、佐藤名人の勝ち