手掘りのため壁面がでこぼこしている燈籠坂大師の手掘り隧道=富津市萩生
千葉県富津市の竹岡と萩生(はぎゅう)を結ぶ国道127号城山トンネルの南側に、もう一つのトンネルがある。「燈籠坂(とうろうざか)大師の切り通し隧道(ずいどう)」。この隧道が昨年あたりから、君津市の亀岩の洞窟(濃溝(のうみぞ)の滝)や海に電柱が連なる木更津市の江川海岸と同様、SNSで広まって人気スポットになりつつある。
SNSで話題→突然観光地に 訪れる人々、地元は困惑
「まるでジブリの世界」 洞窟と滝、SNSで拡散 千葉
燈籠坂トンネルの手前にある燈籠坂大師の入り口から坂を上ると小さな隧道がある。お目当ての切り通し隧道は、そこを通り抜けたところにある。
隧道の高さは約10メートル。前後にある切り通しが高さをさらに強調する。荒く削られた壁面を手で触るとざらざらする。地域振興に取り組むNPO法人「ふるさと壱燈会」の広報担当で、ここのガイドを務める荒井輝久さんが「凝灰(ぎょうかい)質の砂岩でできているそうです。触ると手掘りの感じが伝わるでしょう」と説明する。
隧道の完成は、明治から大正にかけてと推測されている。住民が鋸山(のこぎりやま)の石切りの技法で掘ったという。当初は上部だけで人が通れる程度の高さだったが、登り下りが大変なため、昭和の初めに下まで切り下げて今の形になったという。
隧道を通り抜けると灯籠の並ぶ…